【 外へは出たが 】 雪の降る夜中に、小便がしたくなって目が覚めた。あいにく便所は外なので 雨戸を開けようとしたが、凍りついていて開かない。 そこで、ふと思いついて、敷居の溝に小便をみっちり流し込み、ぐいと引いて みると、氷が溶けて雨戸が開いた。 「うんうん、いい考えだったな」と、ほくそ笑みながら外へ出たが、もう何も することはなかった。 【 甚六 】 ある男が子供を二人もっていた。上は甚六といい、18歳で少し脳が足りない。 次は女の子で14歳。 二人の親たちが、もうそろそろ甚六に嫁をもらってやらねばならないが、この 頃のように商売が不景気では、金の工面がつかないとこぼす。 それをそばで聞いていた甚六が「そんなら、俺と妹が夫婦になれば金もいるまい」 と言った。父親は、ひどく腹を立て「この野郎、犬畜生同然のことを言いやがる」 と怒鳴った。 甚六は、さんざん叱られて、次の間に立ち、妹に言った。 「うちの親父はバカだよ。俺とお前を夫婦にしたら安上がりでいいと言ったら とても腹を立てやがった。だけど、自分たちはなんだ。親同士で夫婦になって いやがるくせに!」 【 モモンジー 】 母親が洗濯をしているそばに、しゃがんで遊んでいた小僧が、ふと覗いてみて 「あれぇ、おっかさん、そりゃなんだい?」 「まぁ、この子は!ヘンなとこ覗いたりしていやな子だねぇ。こりゃ、モモンジーだよ」 小僧は、こわいこわいと逃げていったが、今度は父親が仕事をしているそばで いたずらをするので、「この野郎、そんなにいたずらをするとモモンジーだぞ!」 と、口の中に指を入れて両方へ広げて見せた。 すると小僧が「あれぇ、ヘンだぞ。おとっつぁんのモモンジーは口が横に裂けてらぁ」 【 子は可愛い 】 親父が息子の嫁に惚れて、うるさくつきまとう。 嫁は困りきって亭主に打ち明ける。息子は腹を立て「よし、俺がうんとしぼってやる」 と言って、ある日、嫁の着物を着、手拭を被って、へっついのそばで火を焚いていた。 親父が嫁だと思って、後ろから抱きついた。 息子がすぐに手拭を取って「親父、何をするんだ!」と怒鳴りつけた。 だが、親父は少しも慌てず 「子供というのは、いくつになっても可愛くてなぁ」 いかがです? 思わず笑っていただけましたか? 次号も、お楽しみに。。。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 【 タイトル 】 思わず笑っちゃう お江戸の小話 【発 行 者】 磯部ひさ子 【サンプルHP】 http://isobebe99.hp.infoseek.co.jp/index.htm 【E ー Mail】 isobebe99@infoseek.jp ************************************************* このメールマガジンはまぐまぐから配信されています。 まぐまぐ:http://www.mag2.com/ ************************************************* 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 |
はじめまして、磯部ひさ子と申します。 小話というものは、まさに社会の生ける縮図だと私は思うんです。人間性の精 密な分析だとも。格好をつけても、はじまらない、偉そうにしても はじまら ない、そのまま、そのまま。人生を笑い、人間を愛しむ小話の粋とユーモア。 ユーモアとは人生の妙薬、人間の証。 これから、ご紹介していく江戸の人々の笑いは、この世知辛い21世紀の今、 ひときわ明るく輝いて見えます。 まず、一読、思わず笑っていただければ幸いに思います。 |

